「ガソリン車に軽油を入れたら壊れるらしい」
──そんな話を聞いたことがあっても、「自分には関係ない」と思っていませんか？私もかつてはそうでした。ですが、ある日、疲れた仕事帰りにふらっと立ち寄ったセルフのガソリンスタンドで、うっかり「軽油」を給油してしまったのです。愛車はガソリン車だったにもかかわらず。
最初は普通に走れたものの、少しずつエンジン音が乱れはじめ、加速が鈍くなり、しまいには黒煙がマフラーから噴き出す始末。あの時の「しまった」と思った瞬間を、今でも忘れられません。そして、修理にかかった金額は想像をはるかに超えていました。
この記事では、ガソリン車に軽油を入れてしまうと何が起こるのか、なぜ壊れるのか、そして万が一やってしまった場合の対処法や修理費用について、失敗経験をもとに詳しく解説していきます。
この記事でわかること
・ガソリン車に軽油を入れたときに起こる症状とは
・軽油がエンジンを壊す仕組み
・実際の修理費用と対処の流れ
・同じミスをしないための予防策
※この記事はSNS情報を中心に書かれていますが、意見や感じ方は人それぞれです。推測の域を出ず、異なる意見や見解があることも理解しておりますので、どうかご了承ください。本記事を通じて、少しでも多くの方に伝えられれば幸いです。
ガソリン車に軽油を入れるとどうなる？起こる症状とは
あの日、私は軽油をガソリン車に入れてしまったあと、「そのまま走って大丈夫だろう」と軽く考えていました。しかし、すぐにその油断が命取りになることを思い知ることになります。
最初の5分は、何の違和感もなく走行できてしまうのがこのトラブルの厄介なところです。ところが、それは静かに進行する“壊れ始めのサイン”を見逃しているに過ぎませんでした。
走行中にまず気づいたのは、加速時の「もたつき」です。アクセルを踏んでもパワーが出ず、まるで車が嫌がっているような感覚。そのうち「カラカラ」「ゴロゴロ」と異音が混じり、エンジンの振動がいつもより激しくなってきました。
最終的には、マフラーから黒煙が立ち上り、車内に焦げたようなにおいが広がり始めました。そのとき、私はようやく「あ、やってしまったんだ…」と悟ったのです。
これは私だけの話ではありません。SNS上でも「最初は普通に走れたのに突然エンジン停止した」「高架で立ち往生してレッカーを呼んだ」などの投稿を多く目にします。走行可能でもそれは“猶予時間”にすぎず、放っておくと症状は確実に悪化します。
✅ ガソリン車に軽油を入れると最初は気づきにくい
✅ 徐々に加速不良・異音・振動・黒煙が発生
✅ 最終的にはエンジンが止まり、走行不能に
なぜ壊れる？ガソリン車に軽油がダメな仕組みと理由
「軽油ってガソリンより安いから、間違って入れてしまっても大丈夫なのでは？」――かつての私も、そんな甘い認識を持っていました。けれど、構造的にまったく異なる燃料を使うことで、エンジン内部では“静かな崩壊”が始まっているのです。
まず、軽油とガソリンでは燃焼の仕方が根本的に違います。軽油はディーゼルエンジン専用の燃料であり、高温高圧で自然着火する性質があります。一方、ガソリンは点火プラグの火花によって燃焼するタイプ。つまり、そもそも燃やし方が違うのです。
では、ガソリンエンジンに軽油を入れるとどうなるかというと、燃料がうまく燃焼せず未燃焼のまま排出されます。これが黒煙やエンジンの不安定な振動を生み、やがてプラグの失火、燃料噴射系の詰まり、最悪の場合にはピストンやインジェクターの損傷につながります。
しかも、軽油は潤滑性が高く、逆にガソリンエンジンには**“すす”やカーボンが残りやすい**という特徴があります。この微細な堆積物が、エンジン内の可動部品に悪影響を及ぼし、内部の焼き付きや腐食を引き起こすリスクも高まります。
こうしたダメージは、走ってすぐには見えません。しかし内部では確実に進行し、気づいたときにはすでに修理が困難なレベルに達しているというケースも少なくないのです。
✅ 軽油とガソリンは性質がまったく異なる燃料
✅ 軽油は着火しにくく、未燃焼で排出されてしまう
✅ インジェクター、プラグ、ピストンなどが次々とダメになるリスクあり
もし入れてしまったら？対処法と修理費用の実例
「軽油を入れてしまった」ことに気づいたとき、すでに走行してしまっているケースも多いと思います。しかし、まだエンジンをかけていない、あるいは給油直後に異変に気づいた場合には、最悪の事態を避けるチャンスがあります。
まず最初にやるべきことは、エンジンを絶対にかけないこと。セルを回さず、その場でガソリンスタンドのスタッフに事情を話せば、タンク内の燃料を抜き取ってもらう「燃料抜き取りサービス」で対応できる場合があります。費用は1万～2万円程度が相場で、比較的安価に収まります。
一方、もし走行してしまった場合は、事情が一変します。インジェクター、プラグ、燃料ライン、さらにはエンジンそのものの分解清掃や交換が必要になることもあり、修理費用は10万円〜50万円を超える場合も。最悪のケースではエンジン載せ替え、廃車になるという報告も少なくありません。
さらに問題なのは、このミスが“自己責任”とみなされやすい点です。車両保険に加入していても、燃料の種類ミスによる修理費が保険適用外となることも多く、全額自己負担になるケースもあります。
✅ エンジンをかける前なら「燃料抜き取り」で安く済む可能性あり
✅ 走行してしまった場合は修理費が数十万円単位になることも
✅ 車両保険では補償されない場合が多く、自己負担リスクが高い
さいごに：同じ失敗をしないためにできる予防策
軽油をガソリン車に入れてしまうというミスは、決して「あり得ない話」ではありません。特にセルフスタンドが普及した現在、誰もがそのリスクを抱えています。私自身、慣れているつもりでいた給油で、まさかの大失敗を経験しました。
では、こうした“うっかり”をどう防ぐべきか。最も基本でありながら効果的なのが、ノズルの確認を習慣にすることです。軽油は通常「緑」や「黒」、ガソリンは「赤」や「黄色」で表記されていることが多いですが、色だけに頼っていては不十分です。ラベルの文字をしっかり読む癖をつけることで、ミスの確率は大きく下がります。
また、慌ただしい日常の中でこそ、給油という行為を「確認作業の一環」として捉え直すことが重要です。たとえば「普段と違う車に乗っているとき」「レンタカーを使っているとき」などは、特に注意が必要です。
万が一、給油直後に「おかしいかも」と気づいた場合は、絶対にエンジンをかけずにその場で助けを呼ぶこと。小さな判断ミスが、数十万円単位の損失へと繋がることを忘れてはなりません。
✅ ノズルの色だけでなくラベル表示を必ず確認する
✅ 忙しいときこそ「給油」は慎重に行う
✅ レンタカー・代車利用時には特に要注意
✅ 間違えたと思ったら、まずエンジンをかけない
一度失敗したからこそ伝えられることがあります。この経験を通じて、同じミスを未然に防げる方がひとりでも増えれば、それが何よりの願いです。
