※本記事の画像はAIによるイメージ画像です
「小学校の図書室にあった本」
そう聞いて、あなたの脳裏に浮かぶのはどの作品でしょうか？
2025年春、SNS上で突如として『デルトラ・クエスト』が話題となり、トレンド入りを果たしました。そのきっかけは、あるユーザーが投稿した「小学生の頃に流行っていた本“四天王”」という話題。そこには『銭天堂』や『空想科学読本』などが並びましたが、多くのユーザーが「いや、うちの本命は“デルトラ”だった」と異議を唱え、瞬く間に“デルトラ派”が盛り上がりを見せました。
本記事では、その『デルトラ・クエスト』がなぜ今になって再び注目されたのか、どのような物語であり、どんな読書体験を私たちにもたらしたのかを丁寧に解説していきます。
かつて夢中で読んだ記憶がある方も、名前だけ知っていたという方も――この機会にぜひ、あの「宝石と冒険の物語」を振り返ってみませんか？
この記事でわかること
- 『デルトラ・クエスト』がトレンド入りした理由と背景
- あらすじと物語の基本構造
- SNS上で再評価された理由
- 今、なぜ「読書体験」として語り継がれているのか
※この記事はSNS情報を中心に書かれていますが、意見や感じ方は人それぞれです。推測の域を出ず、異なる意見や見解があることも理解しておりますので、どうかご了承ください。本記事を通じて、少しでも多くの方に伝えられれば幸いです。
トレンド入りした経緯
2025年春、X（旧Twitter）に投稿されたある一枚の画像が、懐かしい読書の記憶に火をつけました。
そこに書かれていたのは、「小学校で人気だった本“四天王”」というテーマで挙げられた4作品――『銭天堂』『空想科学読本』『グレッグのダメ日記』『絶体絶命ゲーム』。世代を問わず“あるある”として共感を呼び、急速に拡散されていきました。
しかし、そこから思わぬ流れが生まれます。
「それも読んだけど、うちの小学校は“デルトラ・クエスト”だった」「一番最初にハマった本は“デルトラ”だった」といった“異論”の声が次々に上がったのです。SNS上では、次第に「デルトラ派」とも呼べる一団が熱量高く参戦。彼らにとってこの作品は、単なる人気本の一冊ではなく、“読書体験の原点”として記憶に刻まれていたのです。
やがてこの流れは、作品単体の再評価だけでなく、「平成の子どもたちが読んでいた本は何だったのか」という、“読書四天王論争”にまで発展。『暗号クラブ』『黒魔女さんが通る』『都会のトム＆ソーヤ』など、同時代の作品が次々と挙げられ、SNS上には“懐かしの読書バトル”とも呼べる状況が広がっていきました。
その中でも特に強い支持を受けたのが『デルトラ・クエスト』だったというわけです。多くの人が「忘れられない冒険譚」「宝石の名前を覚えた原点」などと振り返るその記憶は、共感とノスタルジーを呼び起こし、やがてトレンド入りという形で現代の話題に浮かび上がったのです。
デルトラ・クエストはどんな内容ですか？
『デルトラ・クエスト』は、オーストラリアの作家エミリー・ロッダさんによって執筆されたファンタジー児童書シリーズです。日本では2002年から岩崎書店より翻訳・刊行され、表紙や挿絵を含む独特のビジュアルとともに、多くの子どもたちの心を掴みました。
物語の舞台は、かつて平和だった王国「デルトラ」。しかし、邪悪な“影の大王”によって支配され、7つの宝石を失った王国は危機に瀕してしまいます。主人公リーフは、鍛冶屋の子として育ちましたが、父の遺志を継ぎ、友人のバルダとともに旅に出ます。やがて森で出会った野生児ジャスミンとパーティを組み、「ベルトに埋め込まれた7つの宝石」を探し、デルトラを救う旅に出るのです。
この第一シリーズ（全8巻）では、各巻ごとに1つの宝石を探す冒険が描かれ、毎回異なるダンジョンや謎解きが用意されている構成になっています。続く第2シリーズ『デルトラ・シャドウランズ』、第3シリーズ『デルトラ・ドラゴン』では、さらに深い政治的陰謀や魔物の脅威などが描かれ、より複雑で重厚な物語が展開されます。
子ども向けでありながら、道中の困難や裏切り、人間の弱さと勇気、そして友情が丁寧に描かれ、読者に深い感情の揺れをもたらしました。また、物語の鍵を握る“宝石”にはそれぞれ属性や意味があり、謎解き要素と世界観の奥行きが読者を惹き込む大きな要因となっていました。
なお、日本ではその人気からアニメ化や漫画化もなされましたが、原作の持つ緊張感や奥深さは、やはり小説版でこそ味わえると再評価されつつあります。特に、登場キャラクターであるジャスミンの独立心と強さ、リーフの成長していく姿は、少年少女の心に強く残る存在でした。
SNSで語られる魅力と記憶の熱量
デルトラ・クエストが再び注目を集めた背景には、単なる懐かしさを超えた「読書体験としての格の違い」があります。SNSでは、思い出話やミーム投稿とともに、当時の読者たちがどれほどこの作品にのめり込んでいたのかを語る声が相次ぎました。
中でも印象的だったのは、シリーズを通して登場する「7つの宝石」の設定が、多くの読者の記憶に深く刻まれていたことです。読者たちは、「あの宝石の順番をいまだに覚えている」「属性と象徴にワクワクした」などと振り返っており、子どもながらに謎や仕掛けを解きながら読み進めた経験が、他の本にはない没入感を生んでいたようです。
また、キャラクターに対する愛着も根強いものがありました。特にジャスミンの存在感は群を抜いており、「性格が刺さった」「あの子の孤独と強さに惹かれた」などの投稿が目立ちます。無口で警戒心が強く、それでいて心を許す仲間にはとことん尽くす――そんな彼女の姿に共感した当時の読者が、大人になってなお思い返すほどに印象深い存在だったのでしょう。
一方で、「表紙だけで借りたけど当時は難しくて返してしまった」「途中で読むのをやめたけど、今こそちゃんと読み返したい」といった、未完の読書体験として記憶に残っていたという声も少なくありませんでした。これは、“あの頃の自分にはまだ早かった”という、子ども時代特有の読書ギャップが生み出す懐かしさとも言えるでしょう。
このように、SNSで語られた数々の投稿には、単なる一冊の本を超えた“読書を通じた人生の記憶”が詰まっていました。それはまさに、作品としての完成度の高さだけでなく、「どんな時代に、どんな気持ちでその本を読んだか」という読書の文脈ごと語られていたのです。
懐かしトレンドとして再評価された理由
『デルトラ・クエスト』が今になって再評価された背景には、単なるノスタルジーでは説明しきれない“記憶の共有”という力が働いています。SNSでの盛り上がりは、一部のファンだけによるものではなく、「あの時代にあの本を読んでいた」という世代全体が持つ共通体験が、一斉に呼び起こされた結果だったと考えられます。
まず注目すべきは、「読書四天王論争」という言葉にも象徴されるように、当時の小学生たちがどんな本に夢中になっていたかをめぐる“世代間の共有戦争”が発生したことです。『都会のトム＆ソーヤ』や『暗号クラブ』、『妖界ナビ・ルナ』など、地域や環境によって読まれていた作品は異なっていたにもかかわらず、デルトラ・クエストはその中心に位置づけられていたのです。
さらに、「読み返したい」「大人になった今こそ、物語の深さを知りたい」といった声が多く寄せられた点も重要です。子ども時代には見逃していた物語の裏側やテーマ性――たとえば“王国を再建する責任”や“個としての成長と選択”といった要素に、今だからこそ共感できるという感想も見られました。これは、当時の読者が年齢を重ねたからこそ得られる“再読による発見”が、作品への再評価を後押ししていることを示しています。
また、「宝石の名前を今でも言える」といった記憶の強さも見逃せません。読書体験が“記憶の構造”として残っていることは、そう多くありません。にもかかわらず、この作品に限っては、そうした“記憶の遺産”として、多くの人の心に焼きついていたのです。
結果として、デルトラ・クエストは、単に「懐かしい本」として取り上げられたのではなく、「子ども時代に深く刺さった記憶の物語」として、世代を超えて語り継がれ、今このタイミングで再び光を浴びることになったのだと言えるでしょう。
さいごに
『デルトラ・クエスト』は、ただの児童書としてではなく、当時の読者一人ひとりに「冒険する喜び」「本の世界に没入する感覚」を教えてくれた、かけがえのない作品でした。今回のSNSでのトレンド入りは、その記憶が偶然に呼び起こされたというよりも、「あの頃の自分を確かめたい」という、潜在的な想いが形になった瞬間だったのかもしれません。
たしかに、読書の流行には地域差もあり、必ずしも全員がデルトラに夢中だったわけではないでしょう。でも、それぞれの場所で、それぞれの子どもたちがページをめくりながら感じていた高揚感、緊張、仲間との絆――それらを思い出すきっかけとして、この作品が持つ力はあまりにも大きかったのです。
もし、あなたがかつてこの本を読んだことがあるなら、もう一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
そして、まだ出会ったことがないなら、大人になった今だからこそ味わえる“ファンタジーの原点”として、デルトラ・クエストの世界に足を踏み入れてみてほしいと思います。
✅ 記事のまとめ
- デルトラ・クエストは「小学生の読書四天王」論争をきっかけにトレンド入り
- 物語の魅力とキャラクター、そして構成の巧みさで記憶に深く刻まれた作品
- SNSでは再読・再評価の声が続出し、“読書の原体験”として語られている
- 単なる懐かしさではなく、“心に残る物語”として世代を超えて再注目されている
