※画像は全てイメージです
「顔面を紛失しました」という、やけに丁寧な言い回しがSNSで突如バズを起こしたのは、2024年12月のことでした。
火付け役はVTuber・加賀美ハヤトさん。
THE BACK HORNのギタリスト・菅波栄純さんからの称賛に対して、自身の感情が爆発する様子を「顔面を紛失しています」と表現した一文が、瞬く間に話題となりました。
この「顔面を紛失」という言葉、実はもともとネットスラングの「顔ない（＝恥ずかしさや感動で顔が保てない状態）」を、ビジネスマン風に言い換えたユーモラスなもの。あまりに絶妙なワードセンスに、ファンやネットユーザーから「社長語録」として支持され、現在ではX（旧Twitter）を中心に拡散が続いています。
本記事では、
✅ 「顔面を紛失」の意味と元ネタ
✅ 拡散された背景と“社長語録”としての評価
✅ 「顔ない」との使い分けとネットスラングとしての位置づけ
✅ SNSでの応用やパロディ表現の広がり
といった視点から、言葉の面白さと文化的背景を丁寧に紐解いていきます。
※この記事はSNS情報を中心に書かれていますが、意見や感じ方は人それぞれです。推測の域を出ず、異なる意見や見解があることも理解しておりますので、どうかご了承ください。本記事を通じて、少しでも多くの方に伝えられれば幸いです。
顔面を紛失とは？意味と背景を解説
人生の約半分聴き続けている(なんなら今年も一番聞いている)バンドのギタリスト様に特大のお褒めと誤解を同時に頂いてしまい、現在、顔面を紛失しています。
https://x.com/H_KAGAMI2434/status/1866769099877196003
「顔面を紛失」という言葉は、2024年12月、VTuberの加賀美ハヤトさんが投稿したSNSの一文から生まれました。
その文脈では、尊敬する音楽アーティストから予想外の褒め言葉をもらい、驚きと恥ずかしさで感情が爆発しそうな様子を「顔面を紛失しています」と表現していました。
本来、ネットスラングの「顔ない」は、感情が高まりすぎて恥ずかしさや驚きのあまり「顔を保てない」ような状態を指す言葉です。元はもっと砕けた言い回しで、アニメやVTuber、アイドル界隈で使われてきた表現でした。
それに対して「顔面を紛失」は、語感も含めてより丁寧でビジネス風に仕立てられた表現であり、加賀美さんのキャラクター性——“社長”というポジションを強く反映しています。このギャップの妙が、ファンやネットユーザーのツボを突いたのです。
多くのユーザーが共感を覚え、SNS上では
- 「顔ない」を上司に報告するならこう言いたい
- 丁寧すぎて逆にパワーワード
- 社長だから成立する高貴な言い回し
といった声も見られ、表現そのものにユーモアと品格が同居している点が高く評価されました。
✅「顔面を紛失」は「顔ない」を社会人風にアップデートした表現
✅ 感情が高ぶったときの“恥ずかしさ”や“動揺”のニュアンスを含む
✅ 元の文脈と“社長”キャラが重なり、語録として一気に定着
顔ないの言い換えとして定着した理由と拡散のきっかけ
「顔面を紛失」という言葉がここまで拡散され、強い定着力を持った理由には、いくつかの要素が重なっています。その中心にあるのは、発信者である加賀美ハヤトさんの“社長”というキャラクター性です。
加賀美さんはにじさんじ所属のVTuberで、落ち着いた話しぶりや、ビジネスマン風の立ち居振る舞いが人気の理由の一つとなっています。その“丁寧さ”と“品の良さ”が、今回の言葉選びにも色濃く表れました。
もともと「顔ない」はくだけた表現であり、あくまでネット内輪の言い回しに過ぎませんでした。しかし、それを加賀美さんが“社長らしく”あえて真面目に変換した結果、「顔面を紛失」というワードは、
- 社会人でもギリギリ使えるユーモア
- ネットスラングに品格を与える言葉遊び
- 感情の爆発をオブラートに包んだ表現
といった特徴を持ち、多くの人にとって“絶妙”にハマる表現となったのです。
また、「顔面を紛失しました」と綴った投稿は、バンドファン・VTuberファン・ネットユーザーと複数の層にリーチする内容でした。そのため、感情を素直に表現したツイートであると同時に、言語センスへの称賛も加わり、急速に拡散されていきました。
ファンからはすぐに「これは社長語録に入る」「新しいパワーワードが誕生した」といった声が集まり、加賀美さん自身ものちの投稿で繰り返し「顔面を紛失」という表現を使っています。
それが結果的に、“社長語録”の中でも特に印象的な言葉として位置づけられることになりました。
✅「社長」というキャラ性と丁寧語表現が一致
✅ 感情表現にユーモアと上品さを両立させた希少なワード
✅ 本人の繰り返し使用により語録として浸透した
顔ないとの違いと、オタク界隈での応用例
「顔ない」というネットスラングは、もともと恥ずかしさ、感動、テンションの高ぶりなどで「顔を保っていられない」状態を指す砕けた言葉でした。
例えば、好きな推しから反応をもらった瞬間や、想像以上に刺さる展開に出会った時など、「あまりの感情に顔がもげる」「崩れ落ちる」といったニュアンスを含んで使われます。
一方、「顔面を紛失」は、この感情の高まりをまるで事故報告のように丁寧に言い換えた表現です。ニュアンスはほぼ同じでも、響きのフォーマルさが段違い。実際にSNSでは、
- 「今日は顔面を紛失しすぎて会社に提出する報告書が進まない」
- 「進化した自我崩壊＝顔面の紛失ですね」
- 「推しの新ビジュアル見て顔面を紛失して出社できません」
といった具合に、フォーマル語っぽさを逆手にとったパロディ的用法が多数出現しています。
また、アニメやVTuber界隈では、感情を言語化して共有する文化が特に根付いています。その中で、「顔面を紛失」は“ただの感想”ではなく、テンプレートのように使える言葉として機能し始めているのです。
さらに二次創作やイラスト界隈でも、「顔面を紛失したキャラ」「顔面を紛失しそうなセリフ」としてのタグ利用やパロディイラストが登場するなど、広がりを見せています。
✅「顔ない」は砕けた感情表現、「顔面を紛失」はそれを上品化した派生語
✅ SNSでは“丁寧すぎるオタク語”としてパロディ利用が拡大中
✅ テンプレ的に使えるフォーマットとして定着しつつある
さいごに：SNS発の言葉が文化になるとき
「顔面を紛失」という一言は、単なる言葉遊びにとどまらず、ネット文化の中で“どう言葉が育つか”を示す好例でもあります。SNS、とりわけX（旧Twitter）においては、ちょっとしたユーモアや偶然の表現が爆発的に拡散し、人々の語彙に根付いていく現象が多く見られます。
特に今回は、「VTuber」というメディア性の高い存在と、「社長キャラ」というギャップのある属性、「顔ない」という既存スラングの存在、この三要素がピタリと噛み合いました。そしてなにより、発信者である加賀美ハヤトさん自身がその言葉を気に入り、継続的に使い続けていることが、語録としての定着を後押ししています。
ネットミームやスラングは時として軽んじられることもありますが、その裏には「感情をどう共有するか」「場にふさわしい表現にするには？」という試行錯誤があります。「顔面を紛失」もまた、そんな試みの中で生まれ、支持された言葉です。
今後もこうした「ちょっとだけ上品な言い換え表現」は、日常の中で新たなコミュニケーションツールとして機能していくでしょう。
✅ 文化は偶然と文脈から生まれる
✅ オタク・ビジネス・ネットの境界が交差した瞬間の産物
✅ 「顔面を紛失」はその象徴的な事例といえる
