2025年5月、福岡・JR博多駅前で行われた街頭演説において、国民民主党の幹事長である榛葉賀津也さんが放った一言が、思わぬ波紋を呼びました。
「博多の女性はきれいだね。男性はまぁまぁだね」
演説冒頭の“つかみ”として発せられたこの言葉は、その場では軽く受け流されたものの、SNS上では「時代錯誤だ」「セクハラ的だ」「女性を褒めるふりで他の女性を下げている」といった批判が殺到。中には「本人に悪気はないだろう」「昔からある博多美人ネタ」と擁護する声もある一方で、「国民民主党のイメージ回復に水を差す発言」と冷ややかな反応も広がりました。
この発言がここまで炎上した背景には、ただの一言では片付けられない“時代の空気”が色濃く関係しています。
かつては許された「軽口」が、なぜここまで問題視されるようになったのか。そして、長年の実績を持つ政治家である榛葉さんの言葉だからこそ、その影響力が問われているのはなぜか。
この記事では、榛葉さんの発言が炎上した理由とその背景、世間の反応の内訳、そして私たちがこの出来事から学ぶべきことを深掘りしていきます。
この記事でわかること
- 榛葉賀津也さんの発言が注目された経緯
- 賛否両論に分かれるSNSや世論の反応
- なぜ「つかみ」が炎上する時代になったのか
- 政治家に求められる「言葉の選び方」とは
※この記事はSNS情報を中心に書かれていますが、意見や感じ方は人それぞれです。推測の域を出ず、異なる意見や見解があることも理解しておりますので、どうかご了承ください。本記事を通じて、少しでも多くの方に伝えられれば幸いです。
榛葉賀津也幹事長とは?実績ある政治家が抱える“重み”
静岡県菊川市に生まれた榛葉賀津也さんは、現在4期目を務める参議院議員です。
学生時代はアメリカの大学で政治と国際問題を学び、イスラエルにも留学するなど、若い頃から国際的な視野を養ってきました。国会議員としては、防衛副大臣や外務副大臣を歴任し、現在は国民民主党の幹事長という重責を担っています。
政治家としての活動歴は20年以上。特に外交や安全保障分野での経験値は高く、党内では安定感と信頼感を兼ね備えた存在とされてきました。そのため、今回のような軽率な発言が本人から出てしまったことに対して、多くの人が驚きをもって受け止めたのも無理はありません。
「発言の影響力」は、政治家の立場や信用に比例します。ましてや党の幹事長という要職にある榛葉さんの一言は、党全体のイメージにも直結します。単なる失言とは言い切れない「重さ」が、そこにはあったのです。
信頼を積み上げてきた政治家だからこそ、その「言葉」には、期待と責任が同時にのしかかる。今回の一件は、その現実をまざまざと見せつける形となりました。
『博多の女性はきれい』発言の経緯と釈明の全容

2025年5月26日、榛葉賀津也さんは、国民民主党の参院選候補予定者の応援のため、福岡・JR博多駅前で街頭演説に立ちました。その冒頭、笑顔で発したのが──「博多の女性はきれいだね。男性はまぁまぁだね」という言葉でした。
おそらく、本人としては場を和ませようとした“つかみ”だったのでしょう。昔から「博多美人」という言葉が存在しており、それをなぞったような軽口とも受け取れます。しかし、その場の空気以上に反響が大きかったのは、後になってSNS上に広がった「違和感」の声でした。
現地での報道陣の質問に対して、榛葉さんは「他意はないです。下手なつかみで、すみませんでした。以後気をつけます」と率直に謝罪。火消しとしては比較的早い対応でしたが、それでもネット上の炎上は収まりませんでした。
なぜなら問題は「内容」そのものというよりも、「誰が」「どんな立場で」「どのような状況で」発言したか、という“文脈”にありました。
榛葉さんは、現在の国民民主党において比較的“失点のない”クリーンな印象を保っていた人物です。だからこそ、この“軽さ”が、意外性とともに強く記憶に刻まれてしまったのです。
SNSと世論の反応:三分される現代の空気
榛葉賀津也さんの発言が拡散されると、SNS上には瞬く間に多くの意見が投稿され、まるで三つの陣営が形成されたかのように議論が噴き出しました。
まず目立ったのは、強い否定的な反応です。「公人が容姿について口にするのは時代錯誤」「悪気がなくても、もうその“ノリ”は通じない」といった声が広がりました。中でも女性支持層や中立層からの失望が色濃く、「セクハラ認識が欠けている」との批判は特に鋭いものでした。また、「地方を褒めているようで、他の地域を暗に貶める構図になる」という指摘も一部では共有されており、単純なリップサービスとして済ませられない空気が生まれていました。
一方で擁護する声も少なくありませんでした。「博多美人なんて昔からあるネタだろう」「冗談のひとつに目くじらを立てすぎ」という意見は、特に年齢層の高い男性ユーザーから多く見られました。中には、「国民民主を潰したいメディアが大げさに報じているだけ」と見る向きもあり、政治的立場による反応の差も浮き彫りとなりました。
そして興味深いのは、「内容自体よりも、今それを言うことがどれだけ党にとってマイナスかを考えられなかったことが問題」とする、冷静かつ現実的な意見です。この層は、感情的な批判でも擁護でもなく、「党の足を引っ張ってしまったことが致命的」と分析しています。
このように、同じ発言であっても、人によって受け取り方は大きく異なり、時代背景・ジェンダー観・政党支持・年齢といった要素が複雑に絡み合っています。今回の反応がここまで多様化したのは、「価値観の分断」と「政治への関心」が交差する今の時代ならではの現象だといえるでしょう。
なぜ“たかが冗談”が炎上するのか?3つの要因
榛葉賀津也さんの発言は、表面的には「ちょっとした冗談」のようにも見えます。しかし、それが社会全体の反感を招き、党の信頼にすら影を落とした背景には、3つの要因が複雑に絡み合っています。
1. 時代の価値観の変化とコンプライアンス意識の高まり
かつては当たり前だった「リップサービス」も、今では時代遅れとされがちです。特に公人が容姿に言及することに対しては、ジェンダー平等やハラスメントの視点から、極めて慎重な姿勢が求められるようになりました。冗談や褒め言葉のつもりでも、受け手がどう感じるか、という観点が強く問われる時代なのです。
2. 国民民主党の“女性支持率”という地盤の脆さ
国民民主党は近年、党内スキャンダルや候補者選定をめぐるジェンダー問題で、女性有権者からの支持を取りこぼしてきたという背景があります。そんな状況下での「女性の容姿を話題にする発言」は、たとえ無意識であっても「空気が読めない」と映り、反感を買ってしまう土壌がすでにあったのです。
3. 清廉さが求められる“今の政治家像”とのギャップ
SNSが普及し、有権者が政治家をより近くで見つめるようになった現在、政治家に対する期待は単なる“政策遂行力”だけでなく、人格や発言の細部にまで及びます。「軽口」がそのまま「品格のなさ」と直結して評価される今、公人の言葉には、かつてないほどの重さと覚悟が求められています。