「大阪万博の子供用トイレが“ニーハオトイレ”だって？冗談じゃないの？」
——最初にその話題を目にしたとき、私はそう思いました。
けれど、SNSに出回っていた画像を見た瞬間、かつての自分の記憶がよみがえったのです。
幼い頃、保育園のトイレで誰かに見られることが本当に嫌だった。あの、どうしようもない恥ずかしさと居心地の悪さ。あの感覚が、大人になった今、再び現実になろうとしていることに、胸がざわつきました。
2025年現在、大阪万博の会場に設置される「子供用トイレ」がSNS上で物議を醸しています。
仕切りのない並列型のトイレが画像で拡散されたことをきっかけに、「中国式だ」「日本の文化にそぐわない」といった批判が急速に広がりました。中には「子供のプライバシーを完全に無視している」「行政は何を考えているのか」と、怒りを隠さない声も見受けられます。
一方で、保育園や託児施設などで働く人々の一部からは、「1〜2歳のトイトレ期には合理的」「大人の見守りが必要な設計」といった冷静な意見も見られます。つまり、ただの“悪い設計”ではなく、利用年齢や目的によって評価が大きく分かれる構造だとも言えるのです。
このタイプのトイレは大体0〜2歳までの「早めにトイトレ」の子たちの使うものです。保育園などでも未満児クラスに置かれてることが多いです。トイレに大人のサポートが必要な年齢なので、あえてだと思います。２歳以降はもう少し便座が大きくなり、個室にすることが多いですよ。
https://x.com/R0R3c/status/1909527680053325861
ですが、私が一番強く感じたのは、“子供の気持ち”は誰が考えているのか、ということです。大人が思っている以上に、子供にも羞恥心があります。自分の排泄行為を誰かに見られることに、強い不安や不快感を抱く子は少なくありません。私自身がそうだったように、それは時に「トラウマ」として長く残ることもあるのです。
この記事では、大阪万博の子供用トイレに関する炎上の背景を掘り下げながら、設計の問題点、文化的な受け止め方の違い、そして何よりも「子供の視点」に立った空間づくりとは何かを考えていきます。
この記事でわかること
- なぜ大阪万博の子供用トイレが炎上したのか
- 「ニーハオトイレ」と呼ばれる背景とは
- 子供のプライバシー意識に関する問題
- 賛否が分かれる意見とその根拠
- 今後求められる設計と運営側の対応
※この記事はSNS情報を中心に書かれていますが、意見や感じ方は人それぞれです。推測の域を出ず、異なる意見や見解があることも理解しておりますので、どうかご了承ください。本記事を通じて、少しでも多くの方に伝えられれば幸いです。
なぜ「大阪万博の子供用トイレ」が炎上したのか
大阪万博の話題が盛り上がる中、まさか“トイレ”がこれほど注目されるとは思ってもいませんでした。しかも、それは子供用のトイレ。私自身、子育てを経験した今だからこそ、最初に見たときの違和感がはっきりと言葉にできます。「え、これ…仕切りないの？」と。
SNSに投稿された現地写真を見た多くの人が、同じように驚いたのではないでしょうか。問題の子供用トイレは、仕切りがほぼなく、便器が並列に並んでいる構造。まるで集団で使用することが前提かのように見えます。
仕切りのない構造がもたらした“見られる不安”
この設計がまず問題視されたのは、「プライバシーがない」こと。大人ですら他人に排泄を見られるのは恥ずかしいのに、子供ならなおさらです。たとえ低年齢児であっても、自分の行動が他人の視界に入ることに抵抗感を覚える子は多くいます。
私自身、保育園時代に仕切りが甘いトイレを使うたび、周囲の視線が気になって仕方がなかったことを思い出します。恥ずかしくてトイレに行けず、結局おもらしをしてしまった――そんな体験談も、SNSでは多く共有されていました。
SNSで広がった批判と違和感の声
このような「見られる不安」が、SNS上では一気に批判へとつながりました。
「なぜこの設計を許可したのか」
「子供の羞恥心を理解していない」
といった声が多数見られ、その多くが憤りを含んでいます。
単なる“見た目”の問題ではなく、「子供の気持ちが完全に置き去りにされている」ことへの怒り。それがこの騒動の火種になったのは間違いありません。
設計者や行政への不信も噴出
さらに問題を複雑にしているのが、「誰がこんなトイレを設計したのか」という疑念です。SNSでは、「行政は子育て現場を理解していないのでは」といった声も多く見受けられ、設計の意図が不透明であることが、余計に不信感を煽っています。
「子供のための設計」として提示されているはずのトイレなのに、どうして大人の目線でしか設計されていないのか。そう感じる人が多かったのも当然のことだと思います。
✅ 仕切りのない構造が子供の羞恥心に配慮していないとの批判が多い
✅ SNSでは「誰が許可したのか」と設計・行政への不信も拡大
✅ 単なる見た目の問題ではなく、“見られること”への不安が根本にある
✅ 許可した行政や設計者への怒りの声も
なぜ「中国式」と言われるのか？
なぜ「中国式」「ニーハオトイレ」と呼ばれたのか
このトイレを巡る議論がさらに過熱したのは、SNS上で「ニーハオトイレ」との表現が使われ始めてからでした。一部の人々が、仕切りのない構造を“どこかで見た記憶”と結びつけた結果、「これは中国式ではないか？」という指摘が噴出したのです。
私もこの言葉を久しぶりに目にしたとき、かつて見聞きした中国の公衆トイレ事情を思い出しました。確かに、地域や施設によっては、簡素な構造のトイレが見られることがあると耳にしたことがあります。
海外のトイレ文化との違いが浮き彫りに
日本では「プライバシーを守ること」がトイレ設計の大前提として根づいています。個室が当たり前、仕切りはしっかりと閉まり、音が聞こえないような工夫までなされている。そうした中で、「丸見え」のトイレは強い違和感をもって受け取られたのでしょう。
これに対して、「中国式」「ニーハオトイレ」と呼ばれるトイレは、一部で仕切りがなかったり、横並びで使う形式が採用されている場合があるようです。もちろん、現代の中国でも都市部では完全個室が普及しているようですが、「文化的なイメージ」として日本人の中に根強く残っている認識が、今回の誤解を助長したのかもしれません。
“中国寄り”と受け取られたデザイン
問題は、「仕切りがない」という一点だけで「中国式＝悪」と単純に紐づけられてしまったことです。「どうして万博でこんな構造になるの？」「もしかして中国に配慮した設計なのでは？」といった声まで上がり、それが一種の憶測や不安を広げました。
SNSでは、実際の設計意図が公開されていないことも手伝って、「日本らしさが失われている」「日本文化を否定しているのでは」といった、文化的な拒絶反応すら起きています。
政治的な憶測まで飛び交う事態に
事態がさらに複雑化したのは、こうした文化的な違和感が、やがて政治的な憶測にまで発展したことです。
「誰のための万博なのか」「設計の裏に外国企業の影響があるのでは」といった声まで上がり、純粋な施設の構造議論が、文化とナショナリズムの問題に変質していったようにも感じます。
本来であれば、子供の安全や快適さを第一に考えるべきトイレ設計。しかし今回のケースでは、「文化的に合わないもの＝政治的意図」と結びつける論調が広がったことで、本質的な議論が見えづらくなってしまったのかもしれません。
✅ 「ニーハオトイレ」との呼称は文化的なイメージから来ている
✅ 仕切りのない構造が「中国寄り」と受け止められ、不信を招いた
✅ 設計の背後に“政治的な意図”があるとの憶測まで拡散した
一方で「合理的」という声も?
大阪万博の子供用トイレに対しては、否定的な意見ばかりが目立ちますが、少数ながらも「仕方ない」「むしろ理にかなっている」という意見も見られます。
私自身、子供を育てる中で、トイレトレーニング期の大変さを経験したことがありました。「あれ？まさか…そういう設計なのかもしれない」と、ふと気づいた瞬間があったのです。
保育園や託児所での類似例
実は、仕切りのない並列型のトイレは、保育園や幼児施設などでは決して珍しいものではありません。1〜2歳の子供たちは、まだ完全に自立してトイレを使えず、保育士さんの見守りが必要な時期です。そのため、個室にしてしまうと安全確認や介助が難しくなる場合もあるのです。
現場を知る人たちの間では、「年齢層や用途を限定すれば、合理的な設計」とする見解もあります。確かに、それだけを見れば「合理性がある」と言えるかもしれません。
見守りの必要性とトイトレ期の現実
トイレトレーニングの最中は、子供が一人でパンツを脱げないこともあれば、急に「うんち出る！」と叫んで駆け込むこともあります。大人がすぐ介助できる環境でなければ、間に合わずに失敗することも多い。そう考えると、「大人の目が届く設計」には一定の意義があります。
ただし、それが公共の場でそのまま展開されるとなると、話は別です。託児所や保育園のように、利用者が限定されていて、かつ職員が常時見守っている環境ならまだしも、大阪万博のような大規模な施設では「見られる構造」が誤解を生むのも当然です。
問題は設置場所と用途のミスマッチ
結局のところ、このトイレ設計がここまで炎上したのは、「合理性のある設計が、誤った場所に設置されようとしている」からだと感じています。子供の安全を考えて設計されたとしても、それが公共空間にそのまま持ち込まれたことで、文化的・感情的な衝突が起きてしまったのです。
つまり、設計自体が“悪”だったわけではなく、「どこで」「誰が」「どう使うのか」という情報の不足が、誤解と炎上を招いたのではないでしょうか。
✅ 保育園や幼児施設では、類似したトイレ設計は一般的
✅ トイトレ期の見守りには合理的だという意見も存在する
✅ 問題は“公共空間にその設計を持ち込んだこと”にある
利用者目線で考えると…
子供たちの視点を置き去りにしていないか
このトイレ問題を見ていて、私が一番感じたのは――
「誰が子供の声を聞いているのだろう」
ということでした。
便利さや合理性、安全性を語る大人たちの声はたくさんある。でも、子供自身がどう感じているのか、その視点がまるで無視されているように思えてならなかったのです。
私自身、幼い頃にトイレが原因で嫌な思いをしたことがあります。あの頃の「恥ずかしい」「見られたくない」という気持ちは、大人になった今でもはっきり覚えています。
恥ずかしさやトラウマにつながる可能性
SNSを見ていると、「子供時代にトイレで嫌な思いをして以来、外でトイレに行けなくなった」といった体験談が多く寄せられていました。大人から見れば些細な出来事でも、子供にとっては心に残る“傷”になることがあるのです。
トイレを我慢してしまい、おもらしをして叱られる。誰かに見られて恥ずかしくて泣きそうになる。そんな経験が、「トイレ＝怖いもの」という感覚につながり、大人になっても消えないトラウマとなることは、決して珍しいことではありません。
大人が気づきにくい「子供の羞恥心」
特に1〜3歳の子供は、日々急速に心と体が成長していく時期です。最初は平気だったことが、ある日突然「恥ずかしい」に変わる。そんな繊細な変化に、大人が気づけるかどうかはとても重要です。
だからこそ、「小さい子供だから羞恥心なんてないだろう」と思って設計された空間は、すぐにでも見直す必要があるのです。子供にとっては、そこが「安心できる場所」かどうかが、すべてなのですから。
公共空間だからこそ必要な配慮とは
大阪万博のように、多くの人が訪れる国際的なイベントでは、どのような文化的背景を持った人でも“安心して”利用できる設計が求められます。だからこそ、「子供だから見られても気にしない」と決めつけるのではなく、むしろ公共の場だからこそ、プライバシーへの配慮を徹底すべきです。
どんなに安全でも、どんなに効率的でも、「子供が怖がる」「恥ずかしい」と感じる空間は、決して理想的とは言えません。
✅ 子供にも明確な羞恥心や不安が存在する
✅ 幼少期のトイレ体験がトラウマになることもある
✅ 公共空間だからこそ、「見えない安心設計」が必要
まとめ
個人的に最も残念なのは、誰も「子供の目線で語っていない」こと。
安全面や構造上の利点ばかりを語っても、子供たちが安心できなければ意味がないのです。
利用目的の明示と広報の必要性
今回のような構造のトイレが、保育園などでは一般的であるという事実は確かにあります。しかし、そうした背景説明がなされていないまま、画像だけが拡散されたことが混乱を招いたのです。
設計者側が「このトイレは○歳児対象で、○○の用途で使う予定です」と明示していれば、ここまで炎上することはなかったかもしれません。つまり、設計意図と利用条件を明確に説明する広報戦略が欠けていたことが、最大の落とし穴だったのではないでしょうか。
改善に向けた具体策と透明な対応
今からでも遅くありません。設計を一部見直し、パーテーションを増やすことや、使用中がわかるサインの追加、付き添いスペースの工夫など、「誰でも安心して使える空間」に変えていくことは可能です。
そして何よりも大切なのは、これまで寄せられてきた批判に対して、「黙る」のではなく、「応える」姿勢を見せることです。利用者の声を聞き、柔軟に対応していく姿勢が信頼を取り戻す第一歩になるのだと思います。
真に“誰のため”の空間かを再考すべき
大阪万博は、国際交流の場であると同時に、日本の未来を担う子供たちにも開かれた空間であるべきです。その中で、トイレのような「生活の基本」が安心して使えるかどうかは、非常に重要な問題です。
子供たちに「怖くない」「恥ずかしくない」空間を届けること。それは大人の責任であり、社会全体で取り組むべき課題です。今こそ、「合理性」や「コスト」の話ではなく、「子供にとっての優しさ」を中心に、設計を再考してほしいと願わずにはいられません。
✅ 情報発信の不足が炎上を招いた大きな原因
✅ 子供視点での見直しと柔軟な改善策が求められている
✅ 子供のための空間とは何かを、社会全体で再考する必要がある
