「セブンイレブンの店長って、頭おかしくなるほど大変らしい」
そんな投稿をSNSで見かけたとき、最初は少し大げさに聞こえるかもしれません。でも、実際に調べてみると、その言葉の裏には想像を絶する現場のリアルが存在していました。
私はセブンイレブンで働いたことはありません。ただ、かつて似たような24時間体制の職場で、自分をすり減らしながら働き続けていたことがあります。気づけばシフトは常に人手不足、トラブル対応はすべて自分、誰も代わってくれない毎日に、心も体も壊れかけました。
その経験があるからこそ、「セブンの店長はやばい」と言われる背景には、個人の問題ではなく、明らかに業界全体の構造に問題があると感じています。
この記事では、その実態を整理しながら、いま苦しんでいる誰かが少しでも「おかしいのは自分じゃない」と気づけるよう、願いを込めて書きました。
この記事でわかること
- なぜ「セブンの店長はやばい」と言われるのか
- 店長にのしかかる過剰な業務と責任の正体
- フランチャイズ制度が抱える根本的な問題
- 「真面目な人ほど壊れる」と言われる理由
- 私たち利用者が考えるべき視点とは
※この記事はSNS情報を中心に書かれていますが、意見や感じ方は人それぞれです。推測の域を出ず、異なる意見や見解があることも理解しておりますので、どうかご了承ください。本記事を通じて、少しでも多くの方に伝えられれば幸いです。
2人で回すには無理がある？店長業務の過酷な実情
店長が背負わされる「すべての責任」
コンビニという業態は、見た目以上に業務が多岐にわたります。レジ対応や商品陳列だけでなく、発注、納品対応、清掃、宅配受付、公共料金の処理、そしてアルバイトの教育やシフト管理まで――すべてが「当たり前の仕事」として積み重なっています。
この一連の業務、果たして何人いれば無理なく回せるのでしょうか。現場の声を追ってみると、「2人じゃ回らない」「むしろ3人でも足りない時間帯がある」といった声が相次いでいます。それにもかかわらず、人手不足の現場では、店長やオーナーがその穴を黙って埋めるのが常態化しているのです。
特に雇われ店長の立場だと、「文句を言えば契約を切られるかもしれない」「自分が我慢すれば済む」といった圧力や責任感から、限界ギリギリまで働き続けてしまうケースが少なくありません。
シフトが回らないという慢性的問題
私自身、かつて働いていた職場でシフトを組む担当になったことがあります。急な欠勤や人員不足のたびに「誰かが出なければ店が回らない」という状況になり、結局最後は自分が出るしかない。そうやって無理を重ねるうちに、「このままじゃ倒れるな」と、心の中で何度も思ったものです。
セブンイレブンでも同じような状況が日常的に発生しているようです。求人を出しても応募が来ない。入ってもすぐ辞める。結果として、店長やオーナーがシフトを埋めざるを得ず、気づけば1か月以上休みなしで働いていた――そんな話も珍しくありません。
これらはすべて、個人の努力ではどうにもならない「構造的な問題」です。にもかかわらず、「やる気がない」「自己管理が甘い」などと、店長本人の問題にすり替えられてしまう風潮が、さらなる苦しみを生んでいるのです。
24時間営業が店長を壊す？制度の限界
夜間の作業負担が現場を直撃
「深夜なんて誰も来ないんじゃないの？」
そんなふうに思っていた頃の自分が恥ずかしくなるほど、実際のコンビニの深夜帯は忙しいのです。たとえば棚卸し、翌朝の準備、商品の納品・検品、陳列、機器の清掃…。お客さんの足が遠のく時間帯にこそ、裏方の作業が集中する仕組みになっています。
それでも人手があれば何とかなるはずです。けれど現実には、深夜の時間帯は特に人が集まりにくく、結果的に店長やオーナーがその時間帯に立つしかない、という流れができあがってしまっているのです。
眠気や疲労が限界を超えていく中でも、接客時には常に笑顔でいなければならない。そして少しでも対応が遅れればクレームが入る。「普通じゃない」と思いつつも、それが日常になってしまうのがこの業界の怖さです。
「セブンは7時〜23時では？」という原点回帰の声
もともと「セブンイレブン」という名前は、「朝7時から夜11時まで営業している」という意味だったと聞きます。それが今では24時間営業が当たり前になり、誰も疑問を持たなくなってしまった。
けれどSNSを見ていると、最近では「深夜に開けておく必要ある？」「地方ではもういらないんじゃないか」といった声が増えているように感じます。特に住宅地や過疎地域では、深夜の利用者がほとんどいないというケースもあり、店舗側に営業時間の裁量があれば、負担は大きく変わるはずです。
なのに、その判断をする自由が現場にはない。フランチャイズ契約の縛りにより、営業時間の変更は本部の承認が必要で、簡単には動かせないという構造になっているのです。
利用者の利便性を保ちながら、現場の人が壊れない仕組みは作れないのか。24時間営業の価値を、いまこそ問い直すときが来ていると感じます。
本部はなぜ助けてくれない？フランチャイズの落とし穴
オーナーにも選択肢がない構造
「オーナーになれば自由に店を回せる」と思っていたら、それは幻想だった――
これは、以前知り合いのオーナーさんから聞いた言葉です。セブンイレブンに限らず、コンビニのフランチャイズ契約は、契約時点で店舗運営の裁量権をかなり制限される仕組みになっているようです。
営業時間、品ぞろえ、価格設定、そして販促キャンペーンの実施まで、ほとんどが本部からの指示に従わなければなりません。しかも、売上が伸びなければオーナーの責任、利益が出なければ人件費を削るしかない。結果的に、最も割を食うのが現場の店長やオーナー自身なのです。
私自身、かつて似たような契約で失敗したことがあります。名ばかりの「責任ある立場」を与えられても、実際には何ひとつ自由が効かない。しかも、失敗したときの責任だけはすべて自分に降りかかってくる構造。この仕組みの中で踏ん張り続けるのは、想像以上に過酷です。
本部と現場の温度差が引き起こす悲劇
現場で起きている問題を、本部がどれほど把握しているのか――そう感じるエピソードも多々見かけます。「人がいないなら自分で入るしかない」「疲れていても笑顔を見せろ」そんな空気のなかで働き続ければ、心も体もすり減っていくのは当然です。
それでも、本部の対応は形式的で、現場のリアルな声が反映されるまでに時間がかかりすぎる。私が見てきた職場でも、「大丈夫ですか？」と建前だけのヒアリングが来るものの、翌日から何かが変わるわけではないというのが常でした。
店舗の運営は、現場に立つ人がいてこそ成り立ちます。にもかかわらず、その最前線の人々が限界を迎えても、仕組みが改善されないのだとしたら、それは制度としてもう破綻しかけているのではないでしょうか。
真面目な人ほど危ない？「頭おかしくなる」原因とは
責任感と無理の積み重ね
一番怖いのは、「自分はまだ大丈夫」と思い込んでしまうことでした。
私がかつて働いていた職場でも、何度も限界に近い働き方をしていたのに、自分の感覚がおかしくなっていくのに気づけませんでした。周囲がみんな頑張っているから、自分だけ休むわけにはいかない――その思いが、少しずつ自分を壊していったのです。
これはコンビニ業界でも同じ構造が見えてきます。店長という立場であれば、現場の責任を一手に背負わされることも多く、「誰かがやらなきゃ」という思いから、自ら長時間勤務を選んでしまうことがあるようです。
けれどそれは本来、選ばされているだけなんです。人が足りなければ補充すべきであり、制度側が支えるべきなのに、なぜか「頑張れる人が頑張る」のが当然になっている。その積み重ねこそが、心身のバランスを崩す大きな要因だと感じます。
お客様第一主義の呪縛
日本の接客業には、極端なまでの「お客様第一」が根付いています。たとえ自分が疲れていても、眠くても、具合が悪くても、「笑顔で対応しないといけない」という無言の圧力がある。これが精神的な疲労をどんどん蓄積させていくのです。
コンビニという業態は、便利で身近だからこそ、利用者側もつい「なんでもやってくれるもの」と思いがちです。でも実際には、深夜に一人で対応している店員さんが、納品や清掃も抱えて走り回っていることも少なくありません。
そんな中で「笑顔がない」「対応が遅い」といったクレームを受ければ、自分が悪いのかと自責に走ってしまう。これが「頭おかしくなりそう」とまで言われる背景なのではないかと思います。
さいごに
「セブンイレブンの店長は頭がおかしくなる」と言われるほど過酷な働き方。
その実態を調べていくうちに、私は、かつての自分を何度も思い出していました。無理をして働き続けたあの日々、自分を責めてばかりだった時間。だけど、今ならはっきり言えます。
おかしかったのは自分じゃなくて、仕組みのほうだったんです。
もちろん、すべての店舗が同じような状況だとは思いませんし、努力や工夫で乗り越えている方もいるでしょう。でも、その努力が常に「自分を犠牲にする形」でなされているとしたら、それはもう限界を超えているサインだと思います。
「店長だから仕方ない」「責任ある立場だから我慢する」――そんな言葉が当然のように使われてしまう空気を、これ以上放置してはいけないと強く感じます。便利さの裏にある「見えない犠牲」に、もっと目を向ける必要があるのではないでしょうか。
私たち利用者も、ただ便利に使うだけでなく、時には「ありがとう」と声をかけたり、「この時間は閉まっていても仕方ない」と思える余白を持つことが、働く人を少しでも救うことにつながるのかもしれません。
そして、制度を作る側、管理する側には、現場を壊す前に耳を傾けてほしい。オーナーや店長が本当に持続可能な形で働ける社会こそが、「便利さ」と「命」の両立を実現する唯一の道だと、私は信じています。
✅ 店長の限界は本人の弱さではなく、制度の限界の証
✅ 真面目な人ほど危ない構造を変える必要がある
✅ 私たち一人ひとりの意識も、現場を救う力になり得る
