ローソンが2025年夏に販売開始を予定している
「ヴィンテージ米おにぎり」
この一風変わった名称は、単に古米を用いた商品であるにもかかわらず、「ヴィンテージ」という高級感漂う言葉を冠したことで、SNS上を中心に波紋を広げました。
古米というと、一般的には収穫から1年以上が経過した米を指し、新米に比べて味や香りが劣るというイメージがあります。それゆえに“安く売られる存在”だった古米が、突然「Vintage 2023」「Vintage 2022」と年号まで添えて“格上げ”されたような形で登場したことで、「言葉の印象操作では?」という疑念が噴出したのです。
本記事では、この「ヴィンテージ米」という言葉に込められた企業側の意図と、消費者が抱いた違和感や不信感を丁寧に読み解きつつ、私たち消費者が“言葉”にどう向き合うべきかを考えていきます。
この記事でわかること
✅ ヴィンテージ米とは何を指すのか?
✅ なぜローソンは古米を“言い換え”たのか?
✅ ネーミング変更に対する世間の批判・皮肉とは?
✅ 消費者としての正しい見極め方とは?
※この記事はSNS情報を中心に書かれていますが、意見や感じ方は人それぞれです。推測の域を出ず、異なる意見や見解があることも理解しておりますので、どうかご了承ください。本記事を通じて、少しでも多くの方に伝えられれば幸いです。
ヴィンテージ米とは何?古米との違いとローソンのネーミング戦略

ヴィンテージ米は定着しないでしょうw レトロ米の方が字数少なくて楽ですよ
https://x.com/go_ya667/status/1929792511205429662
古米とはどんなお米か
「古米」という言葉は、通常は収穫から1年を経過したお米を指します。さらに古古米(2年経過)、古古古米(3年以上経過)という分類も存在し、それぞれ保存期間に応じて呼び名が変わります。こうしたお米は、新米に比べて水分が抜けており、炊き上がりがパサつきやすいとされるため、価格は安く設定されがちです。
消費期限の問題ではなく、あくまで風味の劣化が理由で、家庭用には敬遠されがちですが、業務用や備蓄用としては一定の需要がありました。
なぜ“ヴィンテージ”という言葉を使ったのか
ローソンが今回「ヴィンテージ米」という名称を採用した背景には、古米に対するネガティブな印象を和らげたいという意図があると考えられます。
“ヴィンテージ”という言葉は、ワインやジーンズのように「年月を経ることで価値が増す」ものに使われる表現です。ローソンはこのプラスイメージを古米に付与することで、「安価=劣化品」という認識を覆し、新しいマーケティング価値を創出しようとしたのかもしれません。
消費者の目にどう映る?
商品パッケージには「Vintage 2023」や「Vintage 2022」と年号付きで表記され、いかにも高級感やこだわりを演出するようなデザインが採用される見込みです。しかし、消費者からすれば、味や品質が伴っていなければ、その演出は逆効果にもなりかねません。
“古米”という言葉に代わるポジティブワードとしての「ヴィンテージ」ですが、それが誤解を招くようであれば、結果的に企業への信頼を損ねるリスクもあるのです。
SNSで噴出した違和感の正体:ユーモア?皮肉?それとも怒り?
まさか本当にヴィンテージ米と名付けるバカタレが現れるとは さすが日本じゃ アホの振れ幅には際限がないのう
https://x.com/QBK_longride/status/1929775131100172342
拡散された“ヴィンテージ米ツッコミ合戦”
ローソンが打ち出した「ヴィンテージ米」というネーミングは、瞬く間にSNSの話題をさらいました。最も多く見られたのは、「ワインじゃないんだから」「お米は熟成しない」といった皮肉交じりの投稿です。
このようなコメントが急速に広がった背景には、そもそも“ヴィンテージ”という言葉が日本の消費者にとって、特別な高級感やブランド性を意味するものとして定着している点があります。そのため、「古米に使うには無理がある」とする違和感が強く表出したのでしょう。
軽妙な冗談と皮肉が交錯したネット文化
「化石米って言った方がリアルじゃない?」「新米を“スタンダード米”にしてほしい」といった投稿は、あきらかにユーモアを含んだものです。こうした軽妙な表現は一見ふざけているように見えますが、その裏には“誇張を笑うことで違和感を伝える”という、現代ネット文化に根付いた批評スタイルが垣間見えます。
つまり、笑いの形式を取りながらも、実際には鋭い疑問を投げかけているのです。
真剣な批判も少なくなかった
一方で、マーケティング倫理を疑うような投稿も目立ちました。「これは印象操作ではないか」「誤認を誘導しているようにしか見えない」といった意見は、単なる言葉選びを超えて、「企業と消費者の信頼関係」にまで踏み込んだものです。
なかには、「名称を変えるよりも正直に“古米”と書いた方が信用できる」「誠実さが感じられない」と、企業姿勢そのものを疑問視する声もありました。
なぜ“古米”のままではダメだったのか?マーケティングと消費者心理のズレ

“古米”という言葉の抱えるネガティブイメージ
「古米」と聞いて、どこか“古くてまずい”“売れ残り”といったイメージが浮かぶ人も多いのではないでしょうか。実際、家庭での消費が伸びづらい要因のひとつに、「新米と比べて味が落ちる」「古いものを買わされたような気になる」といった心理的ハードルが存在しています。
こうしたネガティブな認識を払拭するために、企業側としては言葉そのものを刷新するという選択を取ったと考えられます。
ポジティブワードで包み込む戦略の功罪
「ヴィンテージ米」という言い回しには、古米のイメージを“格上げ”する狙いが見え隠れします。年号付きで「Vintage 2022」などと表記されることで、あたかもプレミアムな価値を持つ商品かのように装われている印象もあります。
これは、味そのものではなく、“言葉の響き”で価値を創出しようとする典型的なマーケティング手法と言えるでしょう。しかしその効果は、消費者にとって“誠実な提案”として受け入れられるかどうかで大きく分かれます。
言葉選びと信頼の境界線
企業が消費者に商品を届けるうえで、「言葉」は単なる表現以上の重みを持ちます。
もしネーミングが過剰であったり、実際の商品と乖離していれば、たとえ悪気がなかったとしても「誤魔化された」と感じられてしまう恐れがあるのです。
「古米と正直に書いた方が信頼できるのでは?」という意見が一定数あったのも、まさにその“信頼の境界線”を越えてしまったと感じた人が多かったことを意味しているのかもしれません。
◆ ヴィンテージ米の“笑えなさ”はどこから来るのか?
いかにも“高級感”や“味の深み”を想起させるこのネーミングですが、SNSでは「いや、それってただの古米じゃん…」と総ツッコミが入っています。
多くの人が引っかかったのは、この“イメージ戦略”のあざとさ。
「これは2022年モノの希少米です!」とでも言いたげな語感が、逆に“笑えない”という空気感を生んでいます。
◆ こういうの、むしろオジサン用語寄せなら笑えた説
カタカナ横文字で誤魔化すのではなく、「わざとダサい」方向に突き抜けていれば、むしろ“愛嬌”や“ウケ”を得られた可能性もあります。
そこで、もし「ヴィンテージ米」ではなく、“オジサンビジネス用語”寄せでネーミングしたらどうなったかを、以下に一覧で比較してみましょう。
ネーミング候補 | 内容のニュアンス | SNSでのウケ |
---|---|---|
ヴィンテージ米 | あえて高級風のカタカナでごまかす | 「ダメージジーンズかよ」と失笑 |
レトロ米 | 昭和の香りが漂い、字面も短く覚えやすい | 「むしろこっちのが可愛い」「映える」 |
アーリー米 | 「アーリーステージ米」的な違和感 | 「だから何が早いんだ」ツッコミ待ち |
プロパー米 | 「生え抜きの米」という意味の謎の専門性 | 「意外と好き」「社内感がエグい」 |
たたき米 | 「とりあえず作ったお米」感で草 | 「社内用語が一般に出てくる面白さ」 |
テレコ米 | 新米と古米がテレコになってしまった産物という意味なら | 「ネタ的にアリ」「ただし食べたくはない」 |
正直ベース米 | 「実は古米です」と正直に言ってくる潔さ | 「誠実さにグッとくる」「買ってもいいかも」 |
エイヤ米 | 「とりあえず勢いで売り出した米」 | 「あーあるあるw」 |
鉛筆なめ米 | 「数字合わせたけど味は知らん」的な仕上がり | 「ヤバすぎて逆にウケる」 |
交通整理米 | 在庫処分の香りがプンプン | 「そういうことね(笑)」 |
◆ 例文で見る“オジサン用語”おにぎりネーミング案
ちょっとした例文風にすると、より笑えたかもしれません。
- 「本日は“正直ベース米おにぎり(2022年度版)”をご用意しました」
- 「交通整理の結果、倉庫から発掘された“テレコ米”使用です」
- 「エイヤで握った“たたき米”塩むすび、税抜120円」
「そう来たか(笑)」とニヤリとする余地が生まれ、
“中身は古米”という現実があっても、受け手側の心が軽くなる効果が期待できます。
さいごに:ネーミングに惑わされず、本質を見る目を持つには
名前よりも中身を確かめる習慣を
今回の「ヴィンテージ米」という呼称は、たしかにユニークで目を引くものでした。しかし、消費者が本当に求めているのは、言葉の華やかさではなく、味・品質・価格のバランスです。
「Vintage 2022」と書かれていても、実際に食べたときに美味しくなければ意味がない。私たちは、ネーミングだけで判断せず、体験に基づいた評価を重ねていくべきです。
古米の可能性も正しく知るべき
古米=まずい、という思い込みが先行しがちですが、実際には炊き方や保存状態次第で、十分美味しくいただけるケースもあります。
また、「糖質が控えめでダイエット向き」という利点や、「備蓄活用として無駄を減らせる」というサステナビリティの視点も見逃せません。
名前を変えることで価値を高めようとする姿勢は一面では理解できますが、それ以上に、消費者自身が“中身を理解して選ぶ”ことの方が、ずっと大切なのです。
企業と消費者の信頼は言葉の上に築かれる
最後に強調したいのは、言葉の選び方ひとつで、企業と消費者の関係性が左右されるという点です。
「誠実さ」を感じさせるネーミングは、消費者にとって信頼の根拠になります。逆に、過度な演出は「ごまかされている」という印象を与えかねません。
“ヴィンテージ米”という表現がこのあとどう評価されるのかは、今後の販売実績やユーザー体験によって左右されるでしょうが、この一件が私たちに問いかけているのは、「どこまで言葉に信じる価値があるか?」という、ごく根本的な問題かもしれません。