新型コロナワクチンの接種から数年が経ち、「スパイクタンパクが体内に長期間残っていた可能性がある」とする研究が再び注目を集めています。
これまで、スパイクタンパクは接種から2週間ほどで消えるとされてきました。
しかし、最近の海外研究では、接種後700日以上経っても検出されたケースが報告され、ワクチン後遺症との関係があらためて議論されています。
実際、接種後に長引く倦怠感や神経系の不調、動悸などを訴える人も多く、「もしかしたらスパイクタンパクが原因では？」と感じる声もSNSを中心に広がっています。
本記事では、スパイクタンパクの基本から、なぜ体内に残ると問題視されるのか、そして報告されている体調不良の事例まで、できるだけ簡単にわかりやすくまとめてみます。
この記事でわかること
- スパイクタンパクの働きとワクチンとの関係
- なぜ「消えない」可能性が注目されているのか
- 実際に報告されている後遺症の例
- 支援制度や、対処に必要な心構え
※この記事はSNSや研究報告をもとに構成された一般向け情報です。健康状態に不安がある方は、自己判断せず必ず医療機関にご相談ください。本記事が、同様の悩みを抱える方にとって少しでも安心につながる一助になれば幸いです。
参考文献：イェール大学岩崎明子教授。ワクチン後遺症論文https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2025.02.18.25322379v1.full.pdf
循環S1タンパク質の存在に基づくPVSサブグループの免疫的特徴
PVS患者における循環S1タンパク質レベルのばらつきをより明確に理解するために、自己申告された感染日、ワクチン接種回数（種類および接種日を含む）、および最後の既知の曝露（感染または接種）から検体採取日までの日数をまとめたタイムラインを作成しました。このタイムラインは、感染歴のないPVS群（PVS-I）と感染歴のあるPVS群（PVS+I）の両方について整理されています（図5G）。
注目すべき点として、PVS-I群においてS1タンパク質が最も高濃度で検出された症例は、最後の曝露から600～700日以上経過していたことが確認されました（NI-1およびNI-5；図5G）。この所見は、一部のPVS患者では抗原（S1）の長期的な持続が関与している可能性を示唆しています。
さらに、PVS+I群のほとんどの参加者はワクチン接種後にブレイクスルー感染（ワクチンを受けた後のSARS-CoV-2感染）を経験していましたが、2名を除き、PVSの症状は感染より前に出現していたことが明らかになりました（図5G）。
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2025.02.18.25322379v1.full.pdf
スパイクタンパクとは何か？ワクチンとの関係をかんたんに解説
ワクチンについて日本のマスコミはずっとだんまり決め込んでるから海外の報道機関が頼りなんだよね
https://x.com/kohtown1/status/1935518317764297005
スパイクタンパクは「ウイルスの侵入キー」
スパイクタンパクは、新型コロナウイルスの表面にくっついている“トゲのようなもの”です。
このトゲは、私たちの体の細胞に取りついてウイルスを中に入れる、いわば「カギ」の役割をしています。
たとえば、家のドアに鍵を差し込んで開けるように、ウイルスもスパイクタンパクという“カギ”を使って細胞の中に入ってきます。だからこのタンパク質は、感染するために欠かせない“重要なパーツ”なんです。
ワクチンは「ウイルスのカギの模型」を体に作らせる
mRNAワクチンは、スパイクタンパクそのものを入れているのではなく、それを作る「設計図（レシピ）」を体に届けています。すると、私たちの細胞がそのレシピをもとに“模型のスパイクタンパク”を少しだけ作り、それに対して免疫が反応する──これがワクチンの仕組みです。
つまり、ウイルス本体ではなく、その一部である「カギの模型」をわざと作って免疫に覚えさせておく。そうすれば、あとで本物のウイルスが来たときにすぐに対応できるようになるわけです。
「すぐに消える」は本当だったのか？
これまでの説明では、「ワクチンの設計図（mRNA）はすぐに分解されて、体に作られるスパイクタンパクも2週間以内にはほとんどなくなる」とされてきました。
しかし最近の研究では、「もっと長く体に残っていた人がいるかもしれない」という結果が出てきて、改めて注目を集めています。「あれ？ 消えていないケースもあるの？」という声が出てきている、というわけです。
✅ スパイクタンパクは、ウイルスが体に入るための“カギ”
✅ ワクチンは、この“カギの模型”を一時的に体に作らせる仕組み
✅ 本来は短期間で消えるとされていたが、残るケースもあるかもしれないと研究が進められている
体に残ったらどうなる？研究から見えてきた後遺症との関係
海外研究で示された「スパイクタンパク残存」の可能性
2024年、米イェール大学の研究チームは、ワクチン接種後も長期にわたりスパイクタンパクが血中に残っていた可能性を示す報告を発表しました。
対象となったのは、ワクチン接種後に体調不良を訴えていたグループと、健康なグループの比較です。
その中で、体調不良を訴えていた数名からは、接種からおよそ700日が経過した後でもスパイクタンパクが検出されていた例があったとされています。
ただしこの研究はプレプリント段階であり、学術的に正式な査読を経たものではありません。そのため、断定的な解釈は避けつつ、今後の検証が待たれる段階です。
実際に報告されている「後遺症」との関係
スパイクタンパクの長期残留と関連づけられている症状の中には、以下のようなものが報告されています：
- 慢性的な倦怠感
- 神経のビリビリとした違和感
- 脱毛
- 心房細動や動悸
- 筋肉痛や関節の痛み
これらの症状はいわゆる「ワクチン後遺症」とされることがある一方で、必ずしも全員が同じ経過をたどるわけではありません。症状の発現には個人差が大きく、免疫の働き方や体質、接種回数などさまざまな要因が複雑に絡んでいると見られています。
因果関係は“未確定”、しかし見過ごせない声がある
現時点では、「スパイクタンパクが残ったことで○○が起きた」と明確に証明されたわけではありません。しかし、複数の事例が同じような訴えを持っているという事実は、今後の科学的検証の価値を示しています。
体調に変化があった場合、SNSで共感を得るだけでなく、専門機関の相談窓口や医療機関での診察を受けることが大切です。
✅ 長期にわたるスパイクタンパクの残存が一部報告されている
✅ 倦怠感や心臓の異常など、複数の症状との関係が指摘されている
✅ 因果関係は確定していないが、今後の研究が期待されている
SNSなどに寄せられた実際の声：苦しみは“見えにくい”けれど確かにある
接種後の不調に「気のせい」と言われてしまう現実
ワクチン接種から数ヶ月、あるいは年単位が経過してもなお、体調不良に悩む人々が少なくありません。SNSやコメント欄では、「倦怠感が取れない」「心臓の違和感が続いている」「髪が大量に抜けた」など、医療機関での診断がつかないまま生活に支障をきたしているケースが投稿されています。
こうした症状は見た目ではわかりにくいため、周囲からは「気のせいでは」「精神的なものじゃないの？」と受け取られてしまうこともあります。その結果、症状そのものだけでなく、理解されない苦しみも積み重なり、二重のストレスを抱えてしまう人もいるのです。
救済制度のハードルが高く、申請自体ができない人も
日本には予防接種健康被害救済制度という仕組みが存在し、ワクチン後に健康被害が出た場合に医療費や給付金が支給される可能性があります。
しかし、この制度の利用には医師の診断や詳細な証明が必要であり、特に「因果関係が不明瞭な症状」においては申請が通らないことも多いようです。また、体調不良で動けない状態のなか、複雑な書類作成や申請プロセスに取り組むこと自体が大きな負担となっているという声も目立ちます。
「同じような人がいる」と知ることで救われる人も
SNS上で多く見られるのは、「自分と同じような症状に苦しむ人の声を見つけて安心した」という言葉です。たとえ根本的な解決にはならなくても、「自分だけじゃない」と思えることが精神的な支えになっている人が少なくないのです。
もちろん、SNS上の情報はあくまでも個人の感想であり、医学的に正確とは限りません。ただ、それでも人々の声が積み重なることで、社会全体がこの問題を無視できなくなる可能性はあります。
✅ 「気のせい」とされやすい後遺症の苦しみ
✅ 救済制度があっても、活用できない人が多い現実
✅ 共感と体験の共有が、心の支えとなることも
私たちにできること：情報を鵜呑みにせず、冷静に対応するには
まずは「正しい情報源」を選ぶ意識を持つこと
インターネット上には、ワクチンに関するさまざまな情報が氾濫しています。そのなかには、事実に基づかない極端な主張や、不安を煽る内容も混在しているのが現実です。
今回話題となった「スパイクタンパクが長期間残る可能性」についても、研究の段階ではまだ限定的であり、全体像が解明されているわけではありません。こうした未確定の情報に接したときは、冷静に複数の情報源を確認し、医学的な裏付けがあるかどうかを慎重に判断する姿勢が求められます。
体調不良を感じたら、迷わず医療機関へ相談を
「自分も同じような後遺症かもしれない」と感じたとき、最も重要なのは早めに医師の診察を受けることです。自己判断でサプリや民間療法に頼るのではなく、必要に応じて専門の外来（例：後遺症外来や心療内科）などを受診することが、身体にも心にも安心をもたらします。
また、診断を受けて初めて、予防接種健康被害救済制度の申請が可能になるケースもあるため、相談の第一歩として医療機関を訪れることは決して無駄にはなりません。
情報に振り回されず、支援制度を正しく使う
厚労省が設けている「予防接種健康被害救済制度」は、認定のハードルが高いと感じられている一方で、認められれば医療費や障害年金の支援が受けられる公的制度です。提出書類や医師の診断書など、準備には時間も体力も必要ですが、一人で抱え込まず、自治体の相談窓口や家族のサポートを得ることも選択肢です。
「制度があるのに使えない」状態を減らすためにも、声をあげることや、情報共有の輪を広げることが大切です。
✅ 情報は一つに頼らず、複数の信頼できるソースを確認
✅ 不調を感じたら自己判断せず、医師に相談すること
✅ 支援制度は存在しており、利用できる可能性がある
さいごに：不安に飲まれず、知識と支援の輪を広げていくために
ワクチンの接種は、あの当時、感染拡大を抑えるために多くの人が選んだ行動でした。誰かを守るため、自分の身を守るため、あるいは社会の要請に応えるため──それぞれの事情と思いを背負って、接種を受けた方がほとんどだったはずです。
それでも、接種後に体調を崩し、回復が長引いている人たちがいるのもまた事実です。そして今、スパイクタンパクが思ったよりも長く体内に残っていた可能性が示されたことで、「なぜ自分だけが」という思いに苦しむ方も増えています。
ここで大切なのは、誰かを責めることでも、過去を後悔し続けることでもありません。必要なのは、「事実を事実として知ること」と「そこからどう行動を選ぶか」という視点です。
医学は日々進歩しています。当時の“正解”が、時間を経て“見直し”を迫られるのは、ごく自然な流れです。だからこそ、情報は常に更新されるものだと捉え、いま苦しんでいる人が正当な支援を受けられるよう、社会全体で向き合っていくことが必要なのだと思います。
接種した人も、しなかった人も、誰かを悪者にすることなく、冷静な視点で情報を共有し合えるような社会であってほしい──そう願ってやみません。
✅ 接種を選んだ過去を責める必要はない
✅ 苦しむ人を支える仕組みと理解が、今こそ求められている
✅ 正しい知識と共感の輪が、次の行動の指針になる
